趣味は何ですか、と聞かれたら、外せないものは何ですか?
私の場合は読書。
本については紙も電子書籍もどちらもがっつり課金するタイプです。
社会人になってから、本だけは漫画でも小説でもビジネス書でも、好きなだけ買ってよいルールにしてます。
基本電子書籍は毎月最低1万円分は購入し、紙の書籍も平均するとそれくらい買っている気がします。
ということで、1〜3月に買って読み、よかったと思う本のリストと簡単な感想です。少なくともこのページでは小説や漫画などはネタバレしない範囲で書こうと思います。
エッセイ編
野矢茂樹「哲学な日々 考えさせない時代に抗して」
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000189554
この四半期読書で最も個人的高評価書籍。
私は元々メタ認知がうるさすぎるタイプというか、仕事をしていても生活を営んでいても、そもそも論とか、何でこうなってるんだっけ?とかをとことん考えてしまい、著者の言うところの「哲学的思考」みたいなものを無意識によくしてしまうタイプなのですが、こういう自分の特性は、目まぐるしく変化する現代社会においては若干不利に働くことが多いように感じます。
(一心不乱かつ盲目的に自分がやっていることを信じられる方が、ビジネスの面では大成しそうで羨ましいなと思ってしまいます。特に根拠ないともわかっているのですが)
別に自分がそうしたくて意識的にそうしているわけじゃないのに、気づいたら「絶対不要でしょ」ってレベルまで思考を巡らせてしまうタイプの人には、この本はすごく響くのではないかと思います。
野矢先生の哲学的な話がそもそも面白いのに、同時に自分でも手放したい自分の弱みに、それも含めて自分のことを冷静に、だけど優しい眼差しで諭してくれるような気持ちになります。だからこそのクオーターベスト。
とはいえ対症療法や処方箋的なことが書かれているわけではなく、あぁもう自分のこの特性はどうしようもないんだな、しょうがない・付き合っていくしかないかと、諦めがつくタイプの書籍です。私と同じような気持ちを抱えている人、ぜひ読んでみてほしいです。
内田樹「コモンの再生」
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167921910
入学試験やその模擬試験の国語ないし現代文で、使われている文章が面白すぎて、終わった後に出典を確認してしまう現象、本好きにはあるあるだと思うのですが、私の中でその現象が起きる著者ツートップが内田樹氏と鷲田清一氏でした。
その後大学生になった後もよく読んでいた内田先生の本、社会人になってからはめっきり縁遠くなっていましたが、文庫版の新刊が出たのを丸の内の丸善で見つけて買ってしまいました。
内田先生の言いたいことは、私が正しく理解できていればおそらく20年くらい前から変わっていないです。
一言でまとめると、人類が生き延びていくためには、もっと「合理的」にならなきゃいけない。ただし、その合理的っていうのは、1世代で終わるような期間や、まして企業の決算のように3ヶ月なんて一瞬の話ではなく、明らかに自分はもうこの世を去ったあとの時間も含めた、長い長い期間を、自分の所属していた集団がサバイブしていけるのか、その視点に対して合理的かどうかであり、その目線で自分の取る行動を判断しなさいよ、と言う話だと理解しています。
今回もそういう話題がいろいろな角度から書き記されていて、既視感と面白さが合わさっている本です。休憩がてらコーヒーや紅茶を淹れながら読むのが好きです。
内田先生はよくブログに著作の一部をUPされているのですが、この本のまえがきもUPされていたので、ご紹介。
http://blog.tatsuru.com/2020/07/20_1520.html
三宅香帆「(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法」
https://www.kadokawa.co.jp/product/322204000277/
三宅氏はX(旧Twitter)で時々バズってらっしゃるのをお見かけして、新進気鋭の著述家の方なんだなぁと認識していたのですが、ある日Xでこんな投稿をお見かけしまして。
俺の、二大舐めて手に取ったらガチでビビった本は三宅香帆『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』と伊藤弘了『仕事と人生に効く教養としての映画』。正直どちらも見るだけイラッとくるようなタイトルをお持ちだと思うけど、中身はかなりガチ。マジで何なのか。
— ガラショ (@gallonshot) 2024年1月31日
元々はタイトルだけ見て通り過ぎていたのですが、読み手にこんな感想を抱かせるのすごいな!?と思って俄然興味が湧き、丸善に行った機会にたくさん購入したうちの1つとして我が家にお迎えしました。だって舐められてるっていう超マイナスのファーストインプレッションを覆して、圧倒的な高評価を得られた時しか出ない感想でしょ、これ。
東京に1泊旅行に行った際、電車とかで読む用として持ち歩きました。ちょっとずつ読み進めるのにちょうど良い章構成になっているので移動のお供にももってこいです。
1章1章はそこまで長くないのに、取り上げている本の面白さが三宅さんに反射して伝わってくる感じがします。鏡みたいな。それは三宅さんの知性によって曇り一つなく磨き上げられていて、かつ三宅さんの熱意によって映される対象がとてもクリアに伝わるので、文学そのものと対峙するより興味を持ちやすく仕上がっているというか。
端的にいえば、「この人に映画(漫画・小説)おすすめされるとすごく面白そうに感じちゃう」人って周りにいませんでしたか? 三宅さんはそのタイプの行動を文学とか歴史的名著で実践している印象でした。
かくいう私も、この本を読んで、「坊ちゃん」と「吾輩は猫である」以来読んだことがなかった夏目漱石を買ってしまいました。門、本当にすごいタイトルです。
今は著作権が切れた歴史的名作を電子書籍でタダ同然で読めるので、良い時代ですね。。。
三宅さんのnoteもXも面白いのでご興味ある方はぜひ。
近々新刊も出るようです。
【新刊】
— 三宅香帆 (@m3_myk) 2024年3月15日
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』
(集英社新書)出ます!
「最近、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて趣味が楽しめない」「疲れているとスマホばかり見てしまう」そんなあなたに読んでほしい、労働と読書の近代史。
4/17発売、予約開始しました🙇♀️https://t.co/PLbGYyRJum pic.twitter.com/ZnB0x4ZjNI
小説編
綾辻行人「十角館の殺人」
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000204571
小説の中で好きなジャンルの1つがミステリーなのですが、実は読んだことがなかったこちら。これを読んだことがないなんて、日本でミステリー好きを名乗る資格が果たしてあるのか…?と思ってしまいますが。
実は、電子書籍で2018年には購入していたのですが、なかなか読むきっかけがなく。
それがついこの前、ようやくきっかけが訪れました。そう、実写化です。Hulu独占配信ですが、かなり話題になっていて、かつ評判も良いようですね。
たまたまHuluはずっとサブスクしているので、配信された当日に、これまた原作を知らない夫と見ました。原作小説を先に読むか、映像を見てからにするか悩んだのですが、日頃全然小説を読まない夫と一緒に楽しむことを優先。
ネタバレになるので詳細は控えますが、5話全部見終わった直後、もう本を開かずにはいられませんでした。なぜ私は6年もこの小説を放置していたのか・・!?と気持ちになったのは言うまでもありません。
個人的には映像から見るのも悪くないと思います。でも片方楽しんだらもう片方も・・ってなる可能性が高い気がします。とにかくおすすめです。
以上、エッセイ編と小説編でした。
気づいたら平気で大学のレポート1本分くらい書いてます。
1〜3月の読書日記、触れたい本の半分にも達していないのですが、長くなりすぎたので続きは別の投稿にしようと思います。
にしても、こんなに長くて読む人はいるのだろうか。。。
(いると信じて、)読んでくださった方、こんなに長い投稿にお付き合いいただきありがとうございました。